君のとなりで
すると、実結は横に首をふった。

「…そんなこと、言わないで…」

え…?

なんで?

お前恐かったんじゃないの?

だから泣いてるんじゃないの?

「でも、恐かったんだろ?」

「ちょっとびっくりしただけだもん…」

そういった声も、わずかに震えてる。

無理矢理笑おうとする表情と、頬に残る涙のあとが何よりの証拠。

幼なじみだからこそわかる。

…絶対恐がってた。

嫌われたかもな。

「…ほんと、ごめん。せっかく祝ってくれたのに。」

いろいろ用意してくれたのに。

結局自分に負けて、こんなことして。

「謝らないで?本当に嫌じゃなかったよ。嫌なわけない、だってあたしは、颯のことが大好きだもん。」

そう言うと俺の手のうえに自分の小さな手をのせる。

「嬉しいよ、颯に触れられるの、あたしも同じだよ。」



< 298 / 612 >

この作品をシェア

pagetop