君のとなりで
「まあ、指定校推薦の試験は9月だ。スカウトも急ぎはしない。しっかり悩め!」

柴崎は俺の肩を軽く叩いた。


職員室から出て、図書室に行く間、考える。

小学一年生の時、兄貴のやってるバスケを見に行って、自分もやってみたいって思った。

それからどんどんバスケの面白さに引き込まれていって、いつのまにか生活の一部になっていたくらい。

バスケバカと言われるくらいに、バスケを好きになっていた。

小学生の時、実結にアメリカにいって、バスケをしたいという夢を話したことがあった。

「颯なら絶対行けるよ!その時は実結も連れていってね!」

そう言った実結に、絶対アメリカにつれていくことを誓った。

だけど、そんなことはできない。

まだ俺達は子供で、たった18歳の所詮ガキだ。

将来のことを簡単に決めることなんてできないんだ。



図書室に入ると、カウンターのなかで肘をつき、気持ちよさそうに眠っている実結。

近づいても起きる気配がない。

長いまつげを伏せて、すやすやと小さく寝息をたてている。

この前みたいにまた誰かに見られるぞ?

あのときは本当にムカついた。

自分でもこんなに実結を好きになるなんて思ってなかった。

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