君のとなりで
ぎゅっと目を閉じた瞬間、

ガチャっと音がして不意をつかれた星野君の手の力が弱まった。

あたしはその手を振り払い、走って図書室から出た。

ドアのところにいた誰かにぶつかったけど、そんなこと気にしていられなかった。

同じ階のトイレの個室に入り、大きく息をはいた。

…恐かった…

あのまま誰かが来なかったら、あたし、星野君に…

なんで…?

ドキドキしていた心臓が落ち着いてくると、体から力が抜けた。

頭も冷えて、冷静になってくる。

颯、もう図書室にいるかな?

でも今かえったらまだ星野君がいるかもしれない。

こんな顔じゃ、颯に会えないよ…

一緒に帰れなくなったってメールして…あっ、鞄図書室に置いたままだ。

結局どっちみち図書室に戻らなきゃ。

重いあしどりで図書室に向かう。

そっとドアを開けてなかを確認した。

…いないのかな?




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