君のとなりで
キス…?

されそうになったって…

「誰に?」

冷静に聞いてるように心がけたけど、実際はめちゃくちゃムカついてて。

動揺してる。

「…後輩の、子…」

誰だよ…もしかしてこの前実結の頭に付箋はっていったやつか?

「でも!されてはないから!されそうになっただけだから!」

無理矢理笑顔をつくって笑う実結。

「…それにあたし、颯以外の人とキスなんてできないよ。」

ぎゅっと俺の服の裾をつかんでまた俯く。

思わず抱き締めそうになったけど、躊躇してしまう。

このまま、抱きしめて、中途半端な優しさで余計こいつを傷つけるんじゃないのか。

来週、俺はひどいことを言うのに。

恐かったと言って泣いている実結をもう抱きしめてやる資格なんて俺にあるのか?




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