君のとなりで

花火大会 side実結

「先輩、本当にすみませんでした!」

星野君が頭が床につくくらいの勢いで土下座している。

「もういいよ、気にしないで。」

確かにあのときはすごく恐かったけど、中途半端な態度だったあたしもいけなかったんだよね。

「…気にしますよ、だって俺は本当に先輩のことが好きなんです。」

…失礼だけど、本気なのかなって、からかわれてるのかなって思ってた。

だって星野君は二つも年下で、ほんの数ヵ月前に出会ったばかり。

それに星野君はかっこいいからモテてるみたいだし、こんな地味な目立たないあたしなんかに告白してきたのにすごく驚いた。

だけど、本気なんだ。

あたしを見つめる星野君の目は本気だってことを証明していて。

「…ごめんなさい…」

「そんなに中原先輩が好きですか?俺だったら実結先輩を悩ませたりしませんよ。」

そう言うとあたしの腕を掴んで。

昨日の恐怖が体を襲う。

恐い…嫌だ…!

「…やだっ…」

「…そのへんにしときなよ。」

誰かに星野君の手とあたしの腕を離された。

顔をあげてみると、そこにいたのは都築君だった。

「なんですか?先輩には関係ないでしょ?」

星野君は都築君を睨み付ける。

「藤咲さん嫌がってんじゃん。わかんないかな。」


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