君のとなりで

星空 side颯

「最後に、一緒に行きたいところがあるの。」

そう言った実結は明らかに泣くのを我慢していた。

眉を下げないようにしてるんだけど、逆に目に力が入ってしまっていて。

俺が泣かせた。

最低なんだよ。俺は。

実結が罵ってくれれば、最低だって
もっといってくれれば楽なのに。

優しいあいつは全く勝手な俺を責めることなんかせずに、無理矢理笑顔を作ろうとした。

それが逆にものすごく苦しかった。

そんな実結の、最後のお願い。

聞かないわけがなかった。


「どこに行くの?」

8月29日、後期補習も終わり、バスケの練習もオフのその日、俺と実結は朝から電車に乗っていた。

目的地を教えてくれない実結。

買った切符の土地名はあまり降りたことのない、地元の駅から二時間ほどかかるところだった。

「着いてからのお楽しみだよ!」

そう言って笑う実結。

いつもの笑顔とは違う。

やっぱり少し無理して笑っている。

そんな些細なことでも見抜いてしまう俺は、まだ全然実結のことが好きで。


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