君のとなりで
俺はまたその笑顔に胸が締め付けられた。

「ご注文は?」

「えーっと…うーん…」

優柔不断な実結はまだメニューとにらみあってる。

「暑いからうどん…でも親子丼も美味しそう…うーん…」

心のなかでいってるつもりなんだろうけど声に思いっきり出てるし。

「じゃあ俺、親子丼。」

「ええっ!じゃああたし、冷やしうどん!」

顔を輝かせてメニューから顔を上げる。

単純なやつ…見ててあきない。



料理が運ばれてくるとさっそく箸を配る実結。

こういうときだけ素早いんだよな。

「うわぁ…美味しそう!いただきます!」

一口食べると本当に幸せそうに目を閉じて口を緩める。

そして俺の親子丼をジーっと見つめている。

そういうことされたら、いじめたくなるんだよな。

「ほしいの?」

「えっ!いいの?」

「うん、だめ。」

そう言うとこの世の終わりみたいな表情ですごすごと下がっていく。

やっぱりこいつ、面白い。


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