君のとなりで
「星を見に来たなら一泊していくんでしょ?じゃないと見れないわよ。」

一泊って泊まるってことか…?

…いや、それはさすがにまずいだろ。

「わかりました!宿とります!」

はっ…?

驚いて実結を見ると、さっそく携帯を取り出そうとしていた。

「ちょっと待てよ、泊まるって…お前…」

「…お願い!どうしても颯と見たいの!お母さんにはあたしからちゃんと言うから!お願いします!」

頭を下げる実結。

なんでそこまで…?

俺はひどいことをしたのに。

こんな俺と、なんでなんだよ?

そうやってあと少し、あと少しと一緒に入れる時間を伸ばしていくと決意が揺らぎそうで怖い。

「…やっぱり、嫌だよね…あたしたち別れるんだもん…おかしいよね、こんなの。」

自分に言い聞かせるように小さくいった実結。


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