君のとなりで
なに、してんだ…!?

実結は俺の顔のそばに来て、俺の髪の毛をなで始めた。

有り得ない…心臓の音がどんどん上がっていく。

「颯…好き…大好き…っ…うっ…ふ…好きなの…」

泣いて、る?

「…っ…別れたくないっ…そばにいて…」

別れを切り出したその日から、今日まであいつは俺の留学にたいして応援するだとかそういうことしかいってなかった。

我慢させてたんだ。

これが実結の本音なんだ。

最低だ、俺のせいでずっと本音を押し込めて我慢して。

「…離れたくないよ……っ行かないで…」

この言葉だ。

俺が予想していたのは行かないで、という言葉だったんだ。

だけどあいつは言わなかった。

本当はずっと心の中で叫んでた。

実結の思いに気がつけなかった俺は本当に最低最悪野郎だ。

「好き…大好きなの…颯が好き…」

布団のなかで泣いてる実結に我慢できなくなった俺は、起き上がり、それに驚き目を丸くする実結をきつく抱き締めた。

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