君のとなりで
理由を説明しようと口を開いた瞬間、チャイムが鳴って始業式のための移動が始まる。

「あっ、後で詳しく話して!絶対よ!?」

そう言いながら列に入っていった。

背の順で並ぶからあたしは一番先頭になる。

…あ…

視線はいつもみたいにD組の後ろの方に。

もうやだ…颯を探しちゃうんだ。

視線で追っちゃうんだ。

視界に入ってきた颯は昨日まで一緒にいたのにすごく遠くに感じた。

っ…

目があった…?

もう一度颯を見ると颯は下を向いていた。

気のせい、だよね。

こんなのばっかり、嫌になっちゃう。

けど、朝だって少しだけ待っちゃった。

颯が来るのを。

習慣化しちゃってるんだ。

颯は幼なじみに戻ろうっていった。

だけどもうわかってる。

一度付き合っていたあたしたちは、もう付き合う前のような幼なじみには戻れないってこと。

< 375 / 612 >

この作品をシェア

pagetop