君のとなりで
通学路には颯との思い出がいっぱいつまってる。

背の高い颯はあたしよりも空に近いから夕陽や一番星を見つけたり、飛行機雲を見つけてあたしに教えてくれたっけ。

颯より地面に近いあたしは道端の花や虫なんかを見つけて教えてたなぁ…

初めて手を繋いで帰ったのもこの道だった。

付き合い初めて半年、ぎこちなかったけど颯の手があたしの手を包み込んでくれて。

颯と手は小さい頃に繋いだことはあったけどなんだかすごく恥ずかしくて、でもすごく嬉しかったんだ。

さりげなくいつも道路側を歩いてくれたり、段差や溝に躓きそうになるあたしを助けてくれたり、不器用だけど優しい颯。

夕日に染まる颯のきれいな横顔が好きだったよ。


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