君のとなりで
それからどんどん競技は進み、棒とりであゆちゃんが大活躍したり、あたしが綱引きで転んだりと色々あったものの、いよいよ午前中最後の種目、借り物競争の時間がやって来た。

「実結!頑張れ!」

「藤咲、頼んだぞ!」

テントから応援の声を受けて送り出される。

緊張するな…あたし、プレッシャーに弱いんだよ。

それにさっき桐生くんが言ってたような「好きな」人

みたいなのひいちゃったらどうしよう…

好きな人、そう聞かれて頭に真っ先にに思い浮かぶのは、颯の顔。

やっぱりまだまだ颯のことが好き。


でも、頼めないよ。

「位置について」

パンッ!

そんなことを考えていたらスタートダッシュが一瞬遅れてしまった。

慌てて走り出すけど、あたしは運動が苦手な方だから追い付けるはずもなくビリ。

ようやく紙がおいてある机までたどり着き、最後の一枚の紙を開いた。

見た瞬間、思わず声がでちゃった。

「えっ…!」

そこに書かれていたのは、好きな人(異性)。

どうしよう…桐生くんのバッチリ当たっちゃったよ!

辺りを見回すと、応援のテントから大きな声援が聞こえた。

早くしなきゃ!

クラスの勝利がかかってるんだから!

とは言え、あたしには男の子の友達があまりいないし…

桐生くん、昂君はだめだよね…

あっ!!

「はっ、疾風君!」

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