君のとなりで
疾風君は驚いた顔をしたけど紙を見せると頷いてくれた。

疾風君の隣には本当の、この紙の答えの人。

一瞬目があったような気がしたのは、あたしの気のせいだよね。

「実結、行くよ!」

そんなことを思っていたらぐいっと腕を引かれた。

さすがは野球部のキャプテン、手を引かれるままに走っていくとビリだったのになんと二位になれた。

「疾風君、ありがとう!」

これでクラスのみんなにも迷惑かけずにすんだかな?

「…俺、嬉しかったよ。」

へ?

「実結の好きなやつが俺じゃないってことわかってるし、実結の好きなやつが誰なのかもわかってる。」

そこであたしの目をまっすぐ見て、疾風君は言った。

「だけど、俺のとこに来てくれて嬉しかった。」


あたし、無神経なことしちゃったのかもしれない。

だって、疾風君は…

「みーゆ、そんな顔すんなよ。俺は俺の気持ちに正直になっただけ。」

どうして、疾風君はこんなに優しいのかな?

優しすぎだよ…

< 412 / 612 >

この作品をシェア

pagetop