君のとなりで
「そろそろ戻ろ。多分みんな昼飯に行ってる。」

そういえばお腹がすいた。

「疾風君、ありがとう!本当にありがとうね!」

「いや、いいって。」

だけど本当に助けられた。

疾風君のおかげで二位なんてすごい順位になれたんだ。

感謝しないと!

「実結!お疲れ!すごいじゃん!」

「お腹すいたー!早く食べよー!」

教室に戻るとみんなが声をかけてくれる。

「実結、こっち!」

いつものようにあゆちゃん、早紀ちゃんと机をあわせてお弁当を広げた。

今日は体育会だからかな、ちょっと豪華。

お母さんのお弁当はいつも美味しいんだけどね。

「いやー、ビックリした。平野って足速いんだね。」

あゆちゃんが驚いたように言う。

「そりゃあ野球部のキャプテンだもん。速いでしょ。それよりさー…」

早紀ちゃんがずいっと顔を寄せた。

「何て書いてあったの?あの紙!」

うぅ…

やっぱり、聞かれると思った!

何て言おう…まさか好きな人何て言ったら疾風君に迷惑だろうし…

「好きな人だったりして~?」

あ、あゆちゃん!

「あれ?図星?」

バレちゃったら仕方ない。

「実はね、うん。」

「でも、仮にでしょ。実結が本当に一緒に走りたかった人は別にいるでしょ。」

早紀ちゃんは何でもお見通しだ。

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