君のとなりで
その場にいるのが耐えられなくなってテントを出て、人がいない校舎裏に行く。

こんなところに逃げたって一瞬だけだ。

俺って自分が思ってた以上に弱くて女々しいんだな。

昂や兄貴が恋に夢中になってるのを少し冷めた感じで見てたけど俺も相当だ。

「颯!なにやってんだよ。次リレーだぞ。」

テントに戻るとすぐにグラウンドに連れていかれる。

今走る気分じゃない。

けどそんなことをいってはいられずスタートの合図のピストルが勢いよく聞こえた。

俺が走るのは最後。

D組は三位からのスタートだ。

次々とバトンがわたり、最後から二番目、つまり俺の前の疾風がA組のやつを抜いて二位におどりでた。

一気に応援席のボルテージが上がる。

「颯!」

「頼んだぞ!」

疾風からバトンを受け取り、走り出した。

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