君のとなりで
協力?

そんなの、できないよ…

絶対にできっこない。

「お願い!実結ちゃんしかいないの!」

顔の前で手を合わせて上目使いにあたしを見上げる西田さん。

あたしなんかの協力がなくても西田さんくらいきれいで美人ならうまくいくと思う。

あたしが黙ってると西田さんはさっきまでとうって変わって低い声でいった。

「もしかしてまだ颯君が好きなの?」

その言葉に心臓がドキッとなった。

まだ颯のことが好き?

好きに決まってる。

こんなに簡単に忘れられる恋じゃない。

「まあ報われないと思うけど!その無駄な一途さ。」

無駄な、か。

そうだよね、恋してても無駄だもん。

だけど消せないよ。

「とりあえず颯君に言ってよ。もう縁切りたいって、嫌いだから近づくなって。」

西田さんの目は氷のように冷たくて怖かった。

どうしてあたしがそんなこと言わなきゃいけないの?

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