君のとなりで
それにあいつ、嫌いっていったとき、髪の毛を触っていた。

実結が嘘をつくときの癖だ。

あいつは嘘をついている。

でもなんで?





疑問を残したまま、翌日。

教室に入るなり西田の甘ったるい声がして朝から気分が萎える。

「颯君!今日の放課後、話があるの。教室に残っててね?」

なんでわざわざ?

めんどくさい。

今日は大学の練習があるし、早く帰りたいんだけど。

そう言いたいのを我慢してとりあえず西田から離れたくて適当にうなずいた。

「モテる男は大変ですねー。」

今度は昂かよ。

「なあ、颯。もう十一月も半ばだぜ?本当にこのままでいいのかよ?」

「なんだよ、もう終わったことなんだよ。それに俺、実結に嫌われてるみたいだし。」

だけどもし、あれがあいつの本心なら当然だよな。

だって嫌われることもたくさんしたし。

俺が勝手に都合よく解釈しているのかもしれない。

「お前らは絶対に別れるべきじゃない!俺が断言する!」

昂が断言したってなんにも変わらないっての。

だいたいもう今さらもう一回付き合ってなんて言えない。

俺はあいつのそばにいてやれないんだから。



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