君のとなりで
その日の放課後、教室に誰もいなくなると西田が扉を閉めた。

「ねえ、最後にもう一回言うね。あたし、颯君が好きだよ。あたしと付き合って？」

何度聞かれても答えは同じだ。

決まってる。

「悪いけど、付き合えない。」

いつもならこう言えばさすがの西田でも引き下がるはずだったのに、今回は違った。

「ふーん？それが最後の答えなの。」

なんだ？

なんで笑ってんだ？

「本当に付き合ってくれないの？」

念押しするように、俺の目を見て言う。

「…ああ、付き合えない。」

「わかった。」

意外とあっさり引き下がった。

けど、あいつ最後に笑ってた。

それがなんだか気になったんだ。

俺はまだこのとき気がついてなかった。

自分のせいで一番大切な人を傷つけてしまうことを。

見たくない泣き顔を見ることを。
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