君のとなりで
さっきから一問も解けてない。

こいつ、かなりまずいな。

冗談抜きで落ちるぞ?

「あーあ、早紀に会いてえな。」

学校で毎日会ってんだろうが。

そんなことより手を動かせ!

「なあ、帰ってもいい?」

「見捨てんの?ひどー!」

だったら集中してやれっての!


なんだかんだそうこうしているうちに結局五時半まで昂の勉強に付き合って、家についたのは6時前。

空、待ってるかな。

三階についてエレベーターから降りると、空の声がした。

「ほんとだって。」

「だったらここで言ってよ。」

なんだ?

よくわからないけど、今出ていっちゃいけない気がする。

立ち聞きとか趣味じゃねえけど、これは仕方ないよな。

「はあ…わかったよ。」

そこで空は一呼吸おいた。

「好きだよ、恵里。」

はあっ!?

聞こえてきた言葉に思わず声が出そうになった。
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