君のとなりで
とことんバスケバカな俺達はその日も辺りが真っ暗になり、ボールが見えなくなるまで公園のゴールでワンオンワンをし続ける。

冬だというのに、二人ともワイシャツ一枚になって、汗もかいていた。

「はーっ…あっちー…」

自動販売機で飲み物を買い、一気に飲み干す空。

「いいよなー、颯は。俺も留学してえな…」

「…でも彼女と離れるんだぞ?」

そう言うと空はおかしそうに笑った。

「離れても別れねえよ!だから平気!」

なんでそんなに自信満々で言えるんだ?

俺は不安で、あいつのためだとかいっても結局は自分のためだったのに。

実結が大切だから、俺じゃない誰かにそばにいてほしいなんて、一ミリだって思ってもないことを無理矢理理由にして。

「あ、もしかして実結とのことか?大丈夫だよ!だって実結と颯はお互いのこと、なくてはならないみたいな存在じゃん!」

確かにこれからの生活で実結ともう二度と関わることがないとは考えられない。

「実結はかわいいからな。ボヤボヤしてたらすぐとられるかもよ!」

そうだよな、やっぱりちゃんと言うべきだ。

てゆうか、こんな中1に恋愛を諭される俺は、かなりバカだ。

空の言うことに納得してる自分がいる。

「俺も颯みたいになれるように練習しよっと!」

そう言うと空はボールを投げてきた。

空のおかげで決心がついた。

もう一度ちゃんと伝える。



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