君のとなりで
だから、笑って。

「わあ、雪だ!」

鼻をグズグズさせながら、空を見上げて笑う。

小さな顔をマフラーに埋め、白い息を吐きながら寒そうに縮こまる実結。

そんな実結を抱きしめたい衝動に駆られた。

触れたい。

そんなことを思う俺は、おかしいのか?

「颯、ありがとうね!あたし、今すごく幸せだよ。」

その言葉に、我慢の限界が来た。

小さな実結をぎゅっと抱きしめる。

久しぶりに感じる、温かい体温、柔らかくて、相変わらず力を入れたら壊れてしまいそうで。

「そ、颯!?…」

「実結…ありがと。」

こんな俺に、笑ってくれて。

本当に、ありがと。


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