君のとなりで
気がつけばあたりはすっかり暗くなり、空からは白い雪が舞っていた。

「帰ろうか。」

「うん!」

俺は実結の小さな柔らかい手を握った。

ぎゅっと強く握ると、実結もぎゅっと握り返してくる。

エレベーターのボタンを押すときも離れない二人の手。

普段ならマンションの中でなんて絶対に手を繋いだりなんかしないのに。

「颯、颯の部屋に行きたい。」

家の前までついて、やっと手が離れた時言った、実結の一言。

「もうちょっと、一緒にいたい…だめ?」

そんな顔で聞くなよ。

こんな状況で実結を部屋に入れたらどうにかなってしまいそうだ。

理性に負けるな、俺。

大切にするんだ。

一緒にいたいのは同じだ。

「うん、いいよ。」

俺は扉を開けてしまった。



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