君のとなりで
だから、神がもしいるなら、ちょっとだけありがとう。

「颯、ベランダやってくれたの?」

「うん。」

その後、またもや今度は身長が足りないからと天井の掃除をさせられ、それが終わると今度は換気扇。

身長なら兄貴の方が高いのに、まだまだ部屋の掃除が終わらないようだ。


そうこうしているともう四時過ぎ。

朝からずっと働き詰めで、さすがに疲れた。

ベッドに横になると睡魔が襲ってきた。

ちょっとだけ、寝よう。

そう思って俺は目を閉じた。



「颯っ!颯ってば!」

誰かが俺の名前を読んでいる。

「そーうっ!」

目を開けなくてもわかる、この声は…

「あ、やっと起きた!ご飯だよ!もう隼人さんたち家に来てるんだから!」

少しだけ眠るつもりだったのに、もうそんな時間なのか。

毎年大晦日の夜には藤咲家と一緒に晩を食べて、それから初詣に行くのが恒例。

これから実結の家に行ったら屋上で初日の出を見るまでは当分二人にはなれない。

ここ最近、年末でバタバタしていたし、冬休みに入って、まともに会ってなかった。

そして今、この家には俺と実結だけ。
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