君のとなりで
今年は色んな事があったな。

初めてのキス。

バレンタインの日に、屋上でしたんだよね。

春休みにはあーちゃんとあおくんが帰ってきたよね。

あーちゃんの猛アタックはすごかったな。

クラス替えで颯と、違うクラスになっちゃって。

図書委員会で颯が初めてヤキモチやいてくれた。

進路でいっぱい悩んで、それに気がつけなかった。

一人で抱え込んでたんだ。

そして花火大会の日、別れようって言われた。

あのとき、世界が全部灰色に見えた気がした。

二人で最後に星空を見に行って。

どうして好きなのに、離れようとしたのかな。

あの時のあたしたちはそれが一番いい選択肢だと信じて疑わなかったんだ。

別れてからもあたしは全然吹っ切れなくて、学校で颯を見かけるたびに目で追っちゃって。

隣に颯がいないのが不思議で、辛くて。

早紀ちゃんやあゆちゃん、桐生君や昂君にもいっぱい迷惑かけた。

だけどみんないつも優しくて、あたしにもう一度思いを伝える勇気をくれたの。

颯はいつだってあたしを助けてくれてた。

好きって気持ちは忘れられなかった。

もう一度、颯が好きって言ってくれたとき、胸の奥から、嬉しさとも、幸せとも言い表せないくらいの気持ちがあふれた。

そして思った。

これからもずっと颯のとなりにいたいって。

そばにいて、一緒に歩いて行きたいって思ったの。

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