君のとなりで
思い返してみるけど、全然わからない。

そんなことを考えていると、あっという間にマンションについた。

自由登校が増えてこうして二人で帰れるのもあと少しなのに、こんな風に話さないままで帰るのはもったいない。

「実結?どうしたの?」

そう聞いても無言の実結。

「言わなきゃ俺、わかんないよ。」

俺に女心をわかれっていうほうが無理な話だ。

「…ごめんなさい…、あたし、わがままになってきてるの。」

ようやく顔を上げて話し始めた実結。

わがままになってきてる?

そうなのか?

「あたしね、颯にヤキモチやいたの…さっき、颯が呼び出されたって昂君から聞いて…やっぱり今年もいっぱいチョコもらったって聞いて…それで…あたしのしょぼいチョコなんて、受け取ってくれるのかなって思って…」

語尾がだんだん弱々しくなってきて、またもやうつむき気味になっていく。

俺は大きくため息をついた。

実結、お前、バカだよな。

何もわかってないよな。

誰からの豪華なチョコなんかよりも、お前のやつが楽しみで、朝からちょっとだけソワソワしてたの、知ってる?

実結のさえ貰えればいいって何年も前から思ってんの、知ってる?

「ごめんね…あたし、こんなんじゃ遠距離なんてやっていけないもん…ごめんね。」

俺は何も言わずに、実結の小さな頭を撫でた。

「颯…怒ってないの?」

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