君のとなりで
今日、何個もらったのかな。

何人から告白されたのかな。

去年もすごかったもん。

今年もきっと、いっぱいもらったんだろうな。

「ほら!昂が余計なこと言うから実結が落ち込んじゃったじゃないの!」

「ごめん!実結ちゃん!でも大丈夫!あいつ、実結ちゃんにべたぼれだからさ!」

この二人にも迷惑かけちゃ、ダメだよね。

「ううん、平気だよ!昂君、早紀ちゃん、せっかくのバレンタインだから二人で先に帰って!あたしはここで颯を待ってるから!」

「でも…いいの?実結。」

「大丈夫だよ!バレンタイン、楽しんで!」

早紀ちゃんは何度もあたしを振り返りながら、学校から出て行った。

あたしは一人、下駄箱に寄りかかって空を見あげる。

寒いな…雪がふりそうなどんよりとした雲が広がってる。

冷たい風がマフラーの中の髪を揺らす。

颯、早く来ないかな…会いたいよ。

昨日もあって、今日も一緒に来たのにこんなこと思うなんて変だよね。

あたしももっと強くならなきゃ。

「みーゆ。」

後ろから肩を叩かれて振り返ると、そこにはいつもと変わらない笑顔の、疾風君がいた。

「なにしてんの?寒くない?こんなとこで。」

「うん、颯を待ってるの。」

「あー、そっか。今日バレンタインだもんな。つうか実結のほっぺ真っ赤!」
< 511 / 612 >

この作品をシェア

pagetop