君のとなりで
えっ!?

そんなに?

寒かったからかな。

やだな、ほっぺ赤くなるとますます子供っぽくなっちゃうんだもん。

「ほら、これやるよ。」

そう言って疾風君があたしの手の中に何かを押し込んだ。

暖かくて、ホカホカの…

「カイロだー…暖かい…」

寒空の下で待ってた冷えた体を指先から温めていくカイロ。

ほっぺたにもくっつける。

「風引くなよ。じゃあな!」

そう言うと疾風君は自転車に乗って行っちゃった。

いつでも優しい疾風君。

卒業したらたしか県内の野球部が強い大学に行くんだっけ。

本当にあとちょっとでみんなバラバラになっちゃうんだ。

「疾風君!ありがとう!」

あたしは自転車に乗っている後姿に言った。

すると、自転車を止めて振り返ってくれる疾風君。

「どーいたしまして!」

疾風君は優しいね。

いつもその優しさに救われてるの。

疾風君がくれたカイロを頬に当てながらまた颯を待つ。

「ねーねー、恵那、ちゃんと中原先輩にチョコ渡せたのかな。」

「さあ?でもあの子のこと中原先輩、ちょっと特別に見てたんじゃないの?ほら、恵那は朝練とか毎日出てたしさ。」

目の前を通りすぎて体育館に入っていった、多分あれは二年生の子たち。

今、颯といるのは、恵那ちゃんっていう子なのかな。

颯にとって特別な存在なの?













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