君のとなりで
「颯君、アメリカに行っちゃったら寂しくなるね。美恵ちゃん、聖君と二人暮しになっちゃうね。」

スプーンで紅茶に砂糖を入れながら、日菜さんはつぶやくように言った。

「そうそう、前から聞きたかったんだけど…聞いていいかな?」

日菜さんの実結とよく似たクリクリした目が俺を見つめる。

俺が頷くと日菜さんは人呼吸おいてから口を開いた。

「颯君は実結といつから付き合ってるの?」

ガチャン!

突然予想外のことを聞かれ、カップを落としそうになる。

「大丈夫?気をつけて!」

聞いた本人は顔色ひとつかえない。

こういうところは、真結ちゃんに似てるかも…

ってそんなこと考える場合じゃねえ!

「前に、ほら、夏休みだっけ。実結のことが好きだって言ってたから、てっきり付き合ってるのかと思ってて…でも実結はなんにも言わないし、真結と聖君みたいにデートしたりする素振りはなかったから、どうなのかって…」

ここは正直に答えるべきだよな。

別に悪いことしてるわけじゃないんだし、実結のことはいろいろ傷つけてしまったけど、また隣にいれることになったんだ。

このへんでいい加減、ちゃんと話すのが筋だ。

「はい、俺、実結と付き合わせてもらってます。」

すると、日菜さんはその大きな目をキラキラさせて、笑った。










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