君のとなりで
空いている席に座って、ほっと一息。

「なあなあ、さっきから実結の携帯すげえチカチカしてるけど、いいのか。」

言われてみれば、コートのポケット越しからピンクのライトがチカチカしてる。

あたしは着信の相手によってライトの色を変えてる。

颯は青、家族は黄色、そしてピンクは…

「早紀ちゃんだ。どうしたのかな。」

でも今は電車の中だから携帯を見るのはちょっとね…。

すぐに降りるし、駅についてからでいっか!


そして二十分後、地元の駅で降りて、ポケットから携帯をとりだした。

開いてみると、メールが4件、着信が二件。

全部早紀ちゃんからだ。

どうしたんだろう、もしかして何かあったのかな。

だって早紀ちゃんがこんなにメールや電話してくるなんておかしいもん。

「瞬君、ちょっと電話してもいい?」

「おう、俺ちょっとトイレ!」

瞬君はもう一度駅の中に入っていった。

あたしは早紀ちゃんに折り返し電話をかける。

ワンコールもしないうちにすぐにでる早紀ちゃん。

「もしも…」

「実結!?あんた今どこ?誰といるの?」

珍しく焦ったような早紀ちゃんの声。

本当に何かあったのかも!

なんだか心配になってきちゃったよ。

「どうしたの?何かあったの?」

「こっちが聞きたいわよ、実結、あんた今浮気疑惑かかってるからね!」
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