君のとなりで
そういや、バスケしにいくつもりだったんだっけ。

「ちょっと体を動かしに。」

「もしかしてバスケ?今日市民体育館休館日って真結ちゃん言ってたよ。だからサークルもなしだって。」

そうなんだ。

だったら今日はバスケは諦めるしかなさそうだな。

雪もやむどころかむしろ強くなってきてるし。

「寒いから入ろ?ほら、颯も瞬君も!」

実結に促されて、俺はさっき行ったばかりの藤咲家へ。

「ただいま!」

ブーツを脱ぎながら実結がリビングに向かって言うと、パタパタとスリッパの音をさせて日菜さんが出てきた。

「おかえり!実結ったら瞬君といたのね。あっ、颯君、さっきはありがとうね。」

そういえばさっき、日菜さんに実結と付き合ってること言ったんだった。

なんか急に、顔を合わせにくくなった。

「寒かったでしょ。ほら、こたつ入って!クッキーもあるから。」

日菜さんが三人分の紅茶をまた淹れてくれて、クッキーも出してくれる。

「よし、あたしちょっと銀行に行ってくるね。その後おばあちゃんとこ寄ってくるから。瞬君、今日うちにいること麻央ちゃんに言ってる?」

「言ってるよ!凛の邪魔にならないように出てきた!」

「そう、なら大丈夫か。じゃあ行ってきまーす。」

日菜さんが出て行ってしまうと、急に部屋がしんとなる。

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