君のとなりで
「あーあ、寝ちゃったよ、この子。」

実結を見ると、スヤスヤと寝息をたてている。

おいおい、この状況どうすんだよ。

「そうだ、俺、ちょっとコンビニ行ってくるね。」

急にそう言うと素早くコートを着て立ち上がって部屋を出て行ってしまった。

静かな部屋に響くのは実結の小さな寝息だけ。

こたつで寝たら風引くぞ?

しかも熱いのか、布団けってるし。

実結の寝顔を見ながら考える。

俺達、本当に3月から離ればなれなんだよな。

もう半月もない。

来月の今頃はもう隣にはいない。、

実感がわかない。

こうやって手を伸ばしてすぐに触れられない距離になることが信じられない。

「颯…瞬君は?」

熱くて起きたのか、潤んだ瞳を俺に向ける実結。

「コンビニ行った。」

「そっか。」

体を起こし、俺の隣に座る。

そしてぴったりと肩が触れるほどくっついてきて。

「颯、ぎゅってしたい。」

俺がなにか言う前に、俺の胸に顔をうずめた実結。

おいおい、ここでこんなことするのはいいのか!?

もし誰か帰ってきたりしたらやばいだろ。

「実結、ちょっとここは…」

「お願い、今のうちにいっぱいしとかないと、持たないもん…」

そんな泣きそうな顔でそんなこと言うとか、反則だろ。

俺は実結の背中に手を回した。

すっぽりと俺の腕の中に包まれてしまうほど小さくて華奢で。

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