君のとなりで
予約しとかないと、きっと第二ボタンどころか全部のボタンがなくなっちゃうよ。

中学の時の学ランでさえボタンが全部なくなっちゃったんだから。

高校のブレザーなんてボタン2つしかついてないもん。

きっと争奪戦だよ。

「実結?直ったよ。あと時間。いいの?」

えっ、時間!?

時計を見るといつの間にやら七時半過ぎ。

寝ぐせと格闘してるうちにこんなに時間が過ぎてたの!?

「急がなきゃ!颯と八時に待ち合わせしてるの!」

こんな日まで遅刻なんてとんでもない!

急いで部屋に戻ると、勢いでドアとの境目で躓いて転んじゃった。

「いったー…」

あーあ、こんな日まで、あたしってほんと成長してないな。

ってこんなことしてる場合じゃない!

急いで制服に腕を通す。

やっとピッタリか少し大きいくらいになったこの制服。

三年間あたしが着たこの制服とも今日でお別れ。

一生懸命勉強してやっとのことで入れた高校の制服を初めて着てすごく嬉しかったな。

憧れだった、この制服。

真結ちゃんが着てるのが羨ましくて、いつかあたしも着たいなって思ってた。

あれからもう三年も経ったんだ。

あっという間だったな。

チェックのスカートのプリーツを指でぎゅっと伸ばす。

「実結ー、ご飯食べなきゃ卒業式中にお腹なっちゃうよ!」
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