君のとなりで
あたしが返事に困ってると、

「何やってんのー?」

ことの張本人、桐生君が登場。

「あゆと桐生がラブラブだって話!」

早紀ちゃんがそう言うと二人の顔は同時に赤くなった。

「おい、歩美!お前余計なこと言ってんじゃねえよ!」

「いっ、言ってないわよ!」

そんな二人を見て笑う、早紀ちゃん。

「ほらー、席つけ!」

先生が入ってきて助かったと言わんばかりにそそくさと席に走っていった桐生君。

「ふふ、照れちゃって!」

早紀ちゃんはみんなのお母さんみたいだね。

「…というわけで、この後はトイレ行ったやつから廊下に並べ!いよいよお前らの晴れ舞台だ!」

先生の説明を聞いてたら本当に卒業式なんだなって思う。

みんなが席を立ちだした。

あたしも席を立ち上がる。

「藤咲さん、リボン曲がってるよ。」

自分の胸元をトントンと押しながら相変わらずのポーカーフェイスで言うのは、都築君。

都築君は里桜ちゃんのそばにいるために、お医者さんを目指して、春からは医学部へ進学するらしい。

きっと白衣が似合うんだろうな。

何気に面倒見もいいしね。

「ありがとう、都築君!」

都築君にもいっぱい助けられたなぁ。

考えてみれば、あたしって人に助けられてばっかりで、少しでも誰かのために役に立てたことあったのかな。




< 538 / 612 >

この作品をシェア

pagetop