君のとなりで
いよいよ式が始まり、卒業生は整列して席につく。

あたしたちC組のあとには颯たちD組。

あたしの目はいつだって、颯をすぐに見つけちゃう。

こうして見ると、三年前より確実に大人っぽくなったね。

背も伸びたし、何だかもう雰囲気が大人だもん。

こんなかっこいい人があたしの付き合ってる人だなんて、本当に信じられない。

何年たってもこんなふうに思うんだろうね。

でも、いいよ。

あたしはずっと颯に恋してるもん。

ずっとドキドキしちゃってると思う。

こんなふうに思えることって幸せなことだよね。


長い来賓の挨拶も、答辞、送辞も今日はなんだかあっという間に終わった。

気がつけば後は卒業の歌だけ。

歌いながらいろんなことが蘇ってくる。

あたし、この高校でよかった。

みんなと過ごせて本当に良かった。




「実結ー!写真撮ろ!」

式が終わって校庭に出ると、みんな写真をとったり、後輩の子は先輩にボタンをもらったり。

やっぱり、颯も誰かに第二ボタンあげちゃうのかな。

早紀ちゃんやあゆちゃん、クラスの女の子達と写真を撮ってると、肩をポンと叩かれた。

「実結、俺とも撮ってよ!」

「疾風君!」

疾風君は早紀ちゃんに携帯を渡すとあたしの横に並んだ。

疾風君は卒業したら県内の大学の教育学部へ進学。

将来は小学校の先生になりたいらしい。

あたしはその話を聞いたとき、ピッタリだって思った。
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