君のとなりで
いつでも優しくて、どんな相談にも乗ってくれた疾風君。

あたしの大切な、友達。

「疾風君、ありがとう!」

お礼を言いたくて、写真を取る前に言った。

「どういたしまして、こちらこそありがとな。実結がいて楽しかったよ。」

その言葉に、思わず涙腺が熱くなる。

さっき教室でも先生の言葉に泣いちゃいそうになって必死で我慢したのに、化野涙腺弱すぎ!

「実結、撮るよ!」

慌てて目をゴシゴシこすると、早紀ちゃんのカメラに向かってにっこり笑った。



その後もたくさん写真を撮って、何回も泣きそうになっちゃって。

「そういえば颯君は?」

早紀ちゃんが昂君に聞くと、昂君は体育館を指さした。

「あっちでモテまくってます。」

…やっぱり。

卒業式が最後のチャンスだもんね。

それにしてもすごいなあ。

当分こっちには帰ってこれなさそう。


そうこうしているうちに、校庭にいたみんなも名残惜しみながら帰り始めて。

気がつけば校庭にいるのは数人になっていた。

「実結ー、いいのー?」

早紀ちゃんが不満気な顔で体育館を見る。

「仕方ないよ、あたし、待ってるから。先に帰って?ほら、せっかくなんだから、昂君と二人で!」

「実結ちゃん!ありがとう!俺の第二ボタンいる?」

「いらないっつの!実結、ありがと!また後でね!」
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