君のとなりで
だけど、いつまでもそう思ってたって前に進めない。

あたしも、西田さんも。

「西田さん、もう謝らないで。」

「実結ちゃん…」

西田さんが顔を上げる。

その顔はやっぱり綺麗で、大人っぽくて、憧れちゃう。

「また会おうね。」

あたしは笑っていった。

「…っ…うん!ありがとう!実結ちゃん、颯君と、ずっと別れちゃダメだよ!」

そう言うと西田さんは手を振って玄関から出て行った。

西田さんも颯が好きだったんだよね。

「ふう…」

本当にいろいろあったな、特にこの一年は。

一年前の今頃、まさかこんなたくさんのことがあるなんて思っても見なかったもん。

あたしは階段を上がって、図書室へ。

鍵が閉まってるかなって思ったけど、ドアは開いた。

ここも思い出の場所の一つ。

颯の部活が終わるまでよくここで本を読んだり、居眠りしちゃったり。

図書室の本の香りはあたしを安心させてくれた。

「実結先輩!ここにいたんだ。」

図書室のドアが勢いよく開いて入ってきたのは星野くん。

「ご卒業、おめでとうございます。」

「ありがとう。」

図書委員の仕事もいろいろあったけどなんだかんだ楽しかったな。
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