君のとなりで
颯はまだかな。

早く会いたいな。

「星野っ!体育館の片付け終わってないのにサボってんじゃ…」

またまた勢いよくドアが開いて、入ってきたのはポニーテールがよく似合う、すらっと背が高い女の子。

「水橋!邪魔すんなよ!」

水橋、さんって確か颯にバレンタインに告白してた子だ。

バスケ部だけあって背も高いし、何より運動神経良さそう。

顔をシュッとしてて大人っぽくて、美人だな。

あたしの存在に気づいた水橋さんはツカツカとあたしの方に歩いてきた。

なんだろう…

見下されると結構迫力がある。

「実結先輩、第二ボタンください。」

へっ?

第二ボタン?

「あ、あたしの?」

尋ねるとコクンと首を縦に振る水橋さん。

「あっ、俺も欲しい!」

星野くんも手を差し出してきて。

「いいけど、なんであたしの?」

だって水橋さんがほしいのはほんとは、颯のボタンだよね。

「実結先輩のが、欲しいんです。」

そうきっぱりと言った水橋さんの目はまっすぐにあたしを見てて。

「俺も!実結先輩のボタン宝物にする!」

星野君は無邪気に騒ぐ。

なんだか対照的な二人だ。

仲良いのかな。

「じゃあ、失礼します。」

綺麗な爪で丁寧にあたしのブレザーについていた2つのボタンを外すと、それを自分の胸ポケットにしまい、もう一つを星野君に渡した。
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