君のとなりで
水橋もボタンとかほしいんだ。

俺はあることに気がついた。

「じゃあこれ。」

水橋に渡したのは、赤いリストバンド。

「長いこと使ってて古いけど、小学生の時、初めて試合に出れた日に監督からもらったやつ。」

俺は毎回試合の時、この赤いリストバンドと実結からもらった紺のリストバンドをつけていた。

「いいんですか?そんな大切なもの…」

俺が水橋の手にそれを渡すと、目を丸くしてリストバンドを見つめる。

「うん、水橋みたいにバスケ好きなやつならいい。」

俺みたいなバスケバカの水橋。

誰よりも早く朝練に来てて、毎日毎日シュート練してて。

そのおかげで一年の夏くらいからレギュラーになってその時は俺もすごく嬉しかった。

「颯先輩はやっぱりズルいですね!」

ずるい?

俺が?

わからないって顔をしたら、ただただ笑うだけの水橋。

「先輩、ありがとうございました!またバスケ部に来てくださいね!」

「うん、水橋も頑張れよ。」

俺がそう言うと、水橋はハイっと元気よく返事をした。

きっとこいつがキャプテンなら、強くなる。

「あ、そうだ、先輩ここにいてくださいね。」

「え?」

実結を探しに行こうと思ったんだけど。
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