君のとなりで
「明後日か…明日は家族で過ごすんだよね?」

「いや、特に予定はないけど。」

別に家族で過ごすって言ってもやることないからな。

それに兄貴とか普通に大学だし。

「だめだよ!特に美恵さんは真結ちゃんと颯君が二人で暮らし始めたら一人暮らしなんだよ!一緒にいてあげなきゃ!」

その必死な形相に思わず笑いそうになる。

俺、実結のこういうとこが好きなんだと思う。

いつでも自分より他人を優先で考えてるとこ。

明日だって普通なら最後まで一緒に過ごしたいとか言うはずなのに、俺の家族のことを思ってくれる。

そういうところが、すごい好き。

…絶対本人には言わないけど。

「母さんに聞いとく。」

多分あの人は家族三人で過ごすよりも実結や真結ちゃんや日菜さんを交えたほうがいいと思うけど。

「うん、でもね、ひとつだけ最後に我がままなこと言ってもいい?」

俺が頷くと実結は何かを決めたような目で俺を見た。

「明後日は、一緒にいたい…。」

なんだ、そんなことか。

そんな真面目な顔してるからもっとすごいことかと思った。

それに明後日はもう決めてる。

「最初からそのつもりだけど、だめ?」

「えっ!ほんと!?いいの?」

ものすごく嬉しそうに笑う実結、この笑顔も当分近くで見れないんだ。

今のうちに焼き付けておこう。
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