君のとなりで
次の日、あたしは特にすることもなく暇をしていた。

颯、今頃家族水入らずで楽しんでるよね。

美恵さんは本当に一人暮らしになっちゃうから、今一緒に過ごしとかないと。

壁にはもうブレザーとスカートはかかってない。

昨日の夜、クローゼットにしまったんだ。

本当に卒業しちゃったんだな。

来月からは大学生。

自分が大学生になるなんて未だに信じられないよ。

「実結ー、ちょっといい?」

ドアが開いて、真結ちゃんが入ってきた。

「ねえねえ、見て!」

開いていた雑誌をあたしの部屋にある小さな机においた。

それは結婚情報雑誌だった。

「このウエディングドレス、きれいかな?あたしに似合うかな?」

そう言ってひとつのドレスを指さす。

そのドレスはシンプルだけどすごく綺麗で、何よりも着ている真結ちゃんにとても似合いそう。

まあ、真結ちゃんならどんなドレスも着こなせちゃうんだろうけど!

「うん!すっごく綺麗!」

「やっぱり?あ、でもまだ気が早いよね!多分式挙げるの、再来年くらいになりそうだし…」

再来年か…

その頃あたしは大学3年生。

早生まれだから20歳か。

どんな二十歳になってるのかな。

颯とはどんな風になっていってるのかな…
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