君のとなりで
だからその前に、この思い出の場所で実結ともう一回あの星空を見たかった。

「そうなの、今日は晴れてるからきっとよく見えるわ。」




ご飯を食べ終わり、ひとまず予約している宿に荷物を置きに行くことにした。

ここから宿までは少し遠くて、バスで一時間ほどかかる。

バスの中には俺達以外には誰もいなくて、静まり返っていた。

「貸し切りだね。」

少し眠いのか、あくびをしながら窓の外を見る。

「寝てていいよ、ついたら起こすから。」

そう言うと、じゃあ遠慮なく、と目を閉じた。

しばらくすると実結の頭はがくがくして、今にも前の椅子に付いている灰皿に頭がぶつかりそうになっている。

少し体を抑えて椅子に寝かせてやると、俺の肩に頭を載せてきた。

急に近くなった距離に心臓が早くなる。

ここ数日会ってなかったから、こんなに近くに感じるのは久しぶりだ。


こんなんでドキドキして、俺、この先やっていけるのか?

そっと手を伸ばしてその小さな頭を撫でる。

このやわらかい髪にも、もう当分触れられない。

この安らかな寝顔も、こうしてじっくり見れるのももう少しだけだ。

「…ん…」

髪を撫でると少しだけ反応する実結。

かわいくて、愛しいって思う。
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