君のとなりで
キスのその先にはまだ進めていない。

進みたくないわけじゃない。

むしろ実結とそういうことになるっていうのは興味がないと言ったら嘘になる。

だけど、少し恐い。

だってその先の行為のせいで実結を泣かせてしまうかもしれない。

自分の欲に任せて、実結を傷つけてしまうかもしれない。

少しでも箍が外れてたら、自分を止められる自信がないんだ。

俺は実結から離れると起き上がった。

「颯?」

「ちょっと疲れた。寝てもいい?」

このまま実結に触れていたら、きっと止まらなくなってしまう。

最後に実結の苦しむ顔なんて見たくないから。

大切だから、実結のことが誰よりも、なによりも。

俺は自分の欲を押さえ込める。

「一時間したら起こすね。」

その実結の声を聞いて、俺は目を閉じた。
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