君のとなりで
部屋に戻ると、仲居さんがご飯を運んできてくれた。

すごく美味しそうなのに、あまり食べられない。

一度ネガティブに考えちゃうと、とことん落ちていくこの性格、本当にどうにかしたい。

「実結?食べないの?」

「食べるよ!」

きっとすごく美味しいんだろうけど、なんだかあまり味がしないや。

せっかく颯があたしのためにわざわざ連れてきてくれたのに、最低だ。

なんとか出されたものを食べきるけど、モヤモヤは晴れないまま。

「星、見に行く?」

「うん…」

こんな態度取られたら、きっと嫌だよね。

外に出ると、まだまだ寒くて、くしゃみが出る。

「寒い?」

「平気だよ!」

これ以上迷惑かけられないよ。

これからちゃんと続いていくには、我慢だって、不安を隠すことだって必要になるんだから。

「実結、上見て。」

「わあ…」

そこには夏の時とはまた少し違った満天の星空。

ここに来ると、改めて宇宙の広さを実感する。

「何かあったの?」

颯があたしの髪に触れながら優しく言った。

我慢しなきゃ、そう思ってたのに、その声にあたしは逆らえなくて。

「全部話して?実結の気持ち。」

話してもいいの?
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