君のとなりで
「あのね、」

「うん。」

その後、思い切ってあたしは話した。

颯があたしのことをお荷物に思わないか、不安なこと。

これからちゃんと続いていきたいってすごく思うこと。

それから、もっとたくさん触れたいって思ってること。

全部話し終わって、なんだか怖くて颯の顔を見れない。

するといきなり、颯の腕が背中にまわったかと思うと、きつく抱きしめられた。

周りには誰もいないとはいえ、ここは観光地の屋外。

誰かに見られちゃうかもしれないのに。

「俺も、話していい?アメリカに行く前にちゃんと話したいことがある。」

颯も?

なんだろう…

まさかバスケに集中したいから、別れよう、とか!?

嫌だ!またあたしってば!

なんでこうも後ろ向きなんだろう…

もっと明るく考えていかなきゃ、人生うまくやっていけないよ。

いつもいつも人に頼ってばかり。

いつまでたってもこんなんじゃ、みんなに置いてかれちゃう。

「寒いから部屋で話す。行こ?」

そう言って差し出された颯の手。

これは繋いでってこと?

そっと重ねると、そのままさっきあたしがしたように恋人つなぎ。

颯はあたしの話、ちゃんと最後まで聞いてくれた。

だからあたしも、聞くんだ。

どんなことでも受けとめるよ。

きっと、受けとめてみせるよ。
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