君のとなりで
「颯…ありがとう…大好き。」

そんなこと言うから、俺だっていつもと違って、その言葉を口にした。

「俺も、実結がすごい好き。」

そう言って、また照れて、キスをする。

何度も何度も重ねては離れる唇。

その柔らかい頬に手を当てて、愛おしいって思った。

実結の細い指に自分の指を絡ませる。

会えない間、我慢できるように、声も、感触も、全部全部刻みつけておきたい。

なあ、実結。

俺達は生まれたときからの幼なじみで、ずっと一緒にいて、そのせいで俺はなかなか素直に気持ちを伝えられなかった。

何回も遠回りばっかりして、幼なじみっていう関係を恨んだこともあった。

今考えれば一緒に要られるんだから贅沢な話だよな。

好きよりもっと、もっと違うんだ。

だけど俺はそれをどう上手く伝えることができるのかわからない。

実結に会えたこと、奇跡だと思う。

マンションの部屋が隣で、たまたま同い年で、好きになって。

この先こんなに人を好きになることなんてないだろう。

嫉妬も、愛おしいって思うことも、好きだって思うことも全部実結が教えてくれた感情。

実結に気付かされた感情なんだ。

だから、これからもずっと隣を歩いていきたい。

そう強く思ったんだ。
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