君のとなりで
思い出したのか、笑い出す颯。

その無邪気な笑顔に悔しいけどまたもや胸がときめいてしまう。

「あれは三大事件の一つだな。」

三大事件!?

ということは…

「あと二つは何!?」

なんだか嫌な予感…

「あとは修学旅行でのお化け屋敷のと、花火大会で迷子になったのかな。」

ううっ!

忘れてたい過去なのに!

「お化け役の人に非常口からおんぶされながら出てくるとか、ある意味勇者だよな。」


もう!恥ずかしい!

「そんな事件忘れてよ!もっといい思い出ないの!」

あたしの中の颯との思い出の出来事は3つなんかじゃあ収まらないけど。

だけど一番覚えてるのは、やっぱり告白された日の夜のこと。

あの時の颯があたしに初めて見せた、あの少し照れた顔が今でも鮮明に思い出される。

あの日の夜はかえってベッドに入ってからもなかなか眠れなくて、嬉しくて、舞い上がりそうで、フワフワしてて。

好きな人と両思いになるってこんなにも幸せなんだなって思ったの。

あの日から二年と少し、颯への思いはどんどん膨らんで、胸の中だけじゃ収まりきらないくらいになっていて。

この先もずっとずっと颯のことが好きでいるんだろうな。
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