君のとなりで
急に暗くなる視界。

何も見えなくなって、不安になる。

「颯!見えない!」

「その目、他のやつに見せるの禁止。」

その目ってどの目!?

「ほらそこ!プロフィールムービー始まるよ!俺の力作、ちゃんと見とけよ!」

そう言ってプロジェクターを張り切ってセットしているのは一樹君。

颯と同じく、東京の大学に通っていた一樹君は大学ではバスケでなく映画サークルに入ったらしくてその技術はすごいらしい。

それで、今回も二人の生い立ちを綴った特別なムービーを作ってきてくれたんだって!

今は映画会社に就職して、頑張っているみたい。

たまにこっちに帰ってきた時には真結ちゃんと聖君に会いに行っているみたい。

「颯ってば、ヤキモチ焼くなよー!」

昂君が颯の背中をバシバシ叩いた。

えっ!?

今のってヤキモチ焼いてくれたの!?

颯のほうをみると、パッと目をそらして、見るなって言われた。

でも、頬が少し赤くなってるから、これは照れている証拠だ。

長く付き合っていると、そんなちょっとした仕草とか、癖とか、気づくようになってくるの。

それがあたしは新しい発見をしたみたいですごく嬉しいんだ。

なんだか昔から知っている颯の新しい一面を見たみたいで。
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