君のとなりで
隣を歩く、実結の横顔は三年前より少しだけ大人びている。

相変わらず背は低いけど、ミュールのヒールのせいで少しだけ縮んだ身長差。

「真結ちゃん、綺麗だったね!」

突然見上げられて、びっくりする。

変わっていない俺を惑わす上目遣い。

そりゃあこんな目されたらドキドキするよな。

今日もあの山下に一筋の昂ですら、言ってたし。

無意識にやってるから、余計たち悪いよな。

「ああ…そうだな。」

確かに今日の真結ちゃんはすげえ綺麗だった。

いつか実結もあんなドレス着るのかな、なんて思ってしまう俺は期待しすぎ。

だけど、もう二十一歳であと一年と少しで社会人になる。

俺は教育学部で体育教師になるために勉強中だ。

バスケは趣味で続けて、これからは人にその楽しさを教えていきたい、そう思ったから選んだ道。

実結は実結で、保育士になるために頑張って勉強しているみたいだし…

俺が長い間見てきた中で、今日が一番兄貴が幸せそうな顔してヘラヘラしてた気がする。

「聖君のタキシードも凄くかっこよかった!一樹君のムービーも良かったし、いい結婚式だったね!」

またその笑顔で俺を惑わす。

俺はその小さな手を握った。

何も言わなくても手を繋げるようになったのは大きな進歩で。
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