君のとなりで
「お待たせ。」

部屋のドアを開けたはいいけど、そのあと何かに気づいたように、俺の手を離した実結。

そして、自分の部屋の鍵を取り出した。

「待って!シャワー浴びてくる!そしたら行くね!」

そういうと急いで部屋に入っていってしまった。

シャワー、か。

そんな単語にドキドキしてしまう俺は多分変態なのかもしれない。

これから始まる何かに、心臓が暴れだしているのがわかる。

部屋に入ると、俺もシャワーを浴びることにする。

本当に、ついに、今日俺は…

あー!

やばい。

緊張してきた。

その緊張を解きほぐすように冷たい水を浴びると、少しだけほてっていた頭が冷静になったような気がしなくもない。

風呂場を出ると、ほぼ同時にチャイムが鳴った。

ドアを開けると、そこには部屋着に着替えて、アップにしていた髪を解いた実結。

その髪は少しだけまだ濡れていて、かすかにシャンプーの香りがする。

少し赤くなった頬とか、見えてる細い脚とか、全てが俺の理性を奪っていく。

「部屋、行こっか。」

俺は玄関の鍵を閉めると、自分の部屋のドアを開けた。

素直についてきた実結は俺の部屋の床にちょこんと座ってまっすぐに俺を見上げた。
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