君のとなりで
「ひゃっ…」

…どうしよう…

恥ずかしくて、顔見れない…

これからもっと、全部全部見られちゃうのに。

「実結、こっち向いて。」

「やっ…恥ずかしいもん…」

きっとあたし、変な顔してる。

見られたくないのに、颯がさらにTシャツの中の手を進めるから、あたしはびっくりして颯を見てしまった。

「…まだ今なら我慢できる。どうする?」

この質問、何回目だろう。

こんなこと言わせるのはあたしのせいなんだ。

覚悟したって言ったくせに、ゆらゆら揺れてる、弱い心のせい。

もう決めたでしょ?

大好きな颯となら全然怖くなんかないんだよ。

すごく幸せなことなんだよ。

「実結?」

「続けて…」

あたしは颯の首に腕を回した。

そこから後は、あまり覚えてない。

ただ甘い痺れが体中を駆け巡っていて。

初めて体験するフワフワした感触に、頭がおかしくなっちゃいそう。

恥ずかしいところも全部見られてる。

何回も何回も深いキスを落とされて。

ただその甘い刺激についていくのがやっとなの。

「…っ…実結、いい?」

颯が少し苦しげな表情であたしを見下ろしている。

痛いのかな…

やっぱり、怖いよ…
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